死語の世界

ちゃんとした大人は、言ってもわからないような人には何も言わない。注意しない。
若い人でも、あまりにもつまらないボケには、誰もツッコミをいれない。
無視することで、限度を超えてつまらないということを伝達するためだ。
あえてツッコんだりすると、それすなわち、自分がつまらないとすら思われる危険性がある。
だから、誰からも何も言われないものがある。要は、黙殺されているものが、世の中にはある。
しかし、何も言われないからといって、「自分は社会的に認められている」と勘違いし、あまつさえ調子づいているヤツがいる。

「まずは、カラスから消毒するカァ」

今週の雑誌「アエラ」の中吊り広告である。
電車通勤をしている人はご存じだと思うが、アエラの中吊りでは、毎号このような世相を風刺したダジャレを載せる。
例えば、
”小泉サマワ、現地に行かないの?”
”漏らしたのは、だれヤ Who?”
”ケリーたいのはブッシュの背中?”
などだ。
で、今回は、「カァ」

言わずもがな、カラスと、その鳴き声であるところの「カァ」を引っかけたダジャレだ。
ひどくつまらない。
その構造を書いていて、頬が赤くなるほどである。
ひどくつまらないからこそ、誰もツッコまない。誰も話題にしない。
”話題にしたら負け”といったコンセンサスすら感じる。
だからこそ僕は勇気をだして、声高にツッコんでいるのだ。
ひどくつまらないよ、と。
このように、みんなが手を出さない所に巣くっているものというのは、思いの外に多い。
今思いついたのは、宗教である。
なぜ宗教がこんなにも流行るのか。なぜ誰からも決定的な否定をされないのか。
それは、「誰も死んだことがないから、死んだらどうなるかわからない」からだ。
このブラックゾーンに、宗教は存在していると言っていい。
誰も知らないから、否定も肯定もツッコミすら出来ない。
あまりにつまらないダジャレのように、手を出せない位置にいるのである。
”死語”には誰もツッコめないのだ。(座布団的なフレーズか)

※ 蛇足だが、このアエラのダジャレは、昨今の鳥インフルエンザがカラスに伝染したことを風刺した(つもりの)ものである。
※ 蛇足2。宗教のなかには、仏教系の”死後”を規定しないものも存在する。一応。
※ 最後の蛇足。今回の日記は大失敗。アエラのダジャレを列記してみたら、笑ってしまった。ちょっと面白かったのだ。