夢の中へ夢の中へ

二ヶ月ほど前に、ぎっしりと"思いつき"を書き込んだ手帳を紛失してしまった。
本棚にしまった事は覚えているのだが、文庫本と全く同サイズである上、この間の地震で本が崩れ落ちた事などもあり、完全に見失ってしまった。
さらに崩れ落ちた本がキーボードを直撃し、「I」が壊れてしまった。「I」は相当使う。かなりの主要メンバーだ。「I」が打てないと、あの娘に「愛してる」って言えない。おかしい。おかしくなっているだろう、頭が。
とまあこんな感じで、最近ここの更新が滞っているというか、かようにも頭が機能していない為、今日という今日は是が非でも手帳を発掘し、そこに書かれているであろう良質なネタを使って文を書こうと鬼の意気込み、マッマッなどと声とも息ともつかぬ音を発しながら本棚をひっくり返し、ついぞ赤い手帳を発見して開いてみた。
日々の記録や予定、その欄の一発目、元旦のメモ。
「言わなくてもいい事を、コト細かに語るオレ」
あんまりにもそのまま過ぎて、これ以上文章に加工出来ない。反論の余地もない。
自分そのままという素材で勝負しよう、そんな元旦だったのだな。その意気や良しだ。オレ。
しかしながら、素材で勝負する人というのは基本的に語らない。テレビを見ていると良く分かるが、たいがい長い語りは面白くないものだ。またロンドンハーツの話で恐縮だが、格付けしあう女達の国生さゆりは語りが長い。その上、必死。言わなくていい微妙な恋愛体験、それも暴露という程でもない、ほのめかし程度。国生のほのめかしってのも、テレビ的には360度微妙。プール上がりに耳の奥に水がある気がする、そんな得体の知れない不快感を覚えるのは僕だけだろうか。国生さゆりが自らの波乱の恋愛を語れば語る程、必死に語らざるを得ない構造、国生が置かれている現状に思いを馳せてしまう。
そんなつらさから目をそらし、国生の後ろ、画面奥の暗がりに見える山口もえの膝小僧に注目する始末だ。
どうだろう、言わなくてもいい事を語った日記になったであろうか。