山本さんの頭に穴が

山本さん(43歳独身)がバカでかい絆創膏を、後頭部に貼り付けて出勤してきた。
500万ほど貸している韓国クラブのママとケンカして、カラオケのリモコンで殴られたのだそうだ。
そのまま血をダラダラ流して繁華街をふらつき、救急車で運ばれたそうである。
通報先が110番じゃ無かったのは、不幸中の幸いと言えよう。
状況からして、どっからツッこんでいいのか分からないが、まずもって何で500万もママにつぎ込んでいるのかというとこである。
山本さんとしてはママと付き合っている気でいるらしいのだが、よくよく問いつめてみると、「まだプラトニックな関係を保っている」などと、胸をはって答える。そう、胸をはって答えるのだ。
で、毎晩のようにママの店に通っているのだが、山本さんは酒が飲めない。
よって、店ではキムチとご飯とチヂミを食って帰るそうである。
つまり、晩飯を食いに店に行っているわけだ。
ところが昨日、飲めない酒をしこたま飲んでいたところに、ママから200万円の請求書をもらった。
計算すると、一回の晩飯代は3万円。さらによく見ると、請求書には領収済みとの文字も。
つまるところ、貸し金から棒引きされているのである。
それを聞いた僕たちは「・・・騙されてる」という言葉を飲み込むのに必死であった。
そこに、そのママからお詫びのメールが。
「こんなカワイイ所もあるんだよ」などと言いながら、得意そうにメールを見せびらかす山本さん。
その日も店に行ったらしく、翌日、「仲直りしたよ」と笑顔で教えてくれた。
「殴ったのはカラオケのリモコンじゃなくて、ハイヒールのかかとだって。正直に言ってくれたよ」と満足気である。
そして忘れてはいけないのが、その日のキムチも3万円という事実。