感想文

 誰も知らない

是枝裕和監督の「誰も知らない」を観た。 母親に置き去りにされた4人の子どもたちが、どこにでもあるアパートの一室で、彼らなりの生活をしていく。戸籍も無ければ、学校にも行っていない。そこで、まさに必然的に起こる悲劇。淡々と、丁寧に、彼らの目線で…

 パレード (吉田修一)

2LDKのマンションに、同居し共同生活する5人の男女。出会ったときから「さよなら」を前提としたような、どこか希薄で執着の無い人間関係。「友達ごっこ」と思いながらも、同時に「友達だから仕方ない」とも思う。そんな距離感の中で生きる若者を描いた、”怖…

 流星ワゴン (重松清)

「流星ワゴン」(重松清)を読了。非常に面白かった。過去と未来の狭間、出来てしまった亀裂の落ちて、上を見ても光がない。暗闇の中に過去が見え、後悔が見え・・・新しい過去に「出会う」。ほんと、狭間、それを描くのがすごく巧い。新作が出たら買う作家…

 妻と私 (江藤淳)

江藤淳さんの「妻と私」を、今更ながら読んだ。 慶子夫人に下った、末期ガンという診断。その傍らに付いて離れぬ看病をする江藤。妻の臨終から、江藤本人も病魔に蝕まれ、自殺という出来事に運ばれていく。その遺書には「脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は…

 人の砂漠 (沢木耕太郎)

昔使っていたカバンを引っ張り出して出かけたら、中に「人の砂漠」(沢木耕太郎)が入っていたので、また読んだ。改めて思ったのは、人が思いを仮託する、その対象物を抽出するのがとても巧い。と書いてみたが、あまりに当たり前の事で、まるで冗談を言って…

 ダ・ヴィンチ・コード (ダン・ブラウン)

ようやく「ダ・ヴィンチ・コード」を読み終わった。長い。 この作品の構造は、ものすごくシンプルでわかりやすく出来ている。キリスト教的ミステリーに重点をあて、人物と構造を単純化したのは意図的なのだろうと思った。

 牛への道 (宮沢章夫)

前に紹介させてもらった放哉の自由律俳句や古代ギリシャの恋愛術など、日々を生きて何かを見つめ続ける天才目線本。

 ぼくんち

西原理恵子原作の同名漫画を映画化。 まず言うと、僕は西原理恵子が大好きだ。とくに「ぼくんち」で見せる西原の世界観はすさまじい。「貧乏」とか「生きる」とか、とかく湿っぽくりがちなテーマを扱いつつ、それを突き抜けた「乾いた」ユーモアとカラフルな…

 ビッグ・フィッシュ

「お前のためを思って」と言う人がいる。 こういう場合、その言葉の真実はほぼ10割「詭弁」である。「エゴ」と言い換えてもいい。 でも、自分の親に「お前のためを思って」と言われたらどうだろう。 7割は「親のエゴ」なのかもしれないが、残り3割は「愛…

 バベットの晩餐会

バベットの晩餐会(1987年デンマーク)を観た。 ちなみに、僕の中の2004年上半期暫定ベスト1はこの映画である。 19世紀の後半、デンマークの鄙びた漁村に牧師が開いた小さな教会があった。 牧師には美しい娘が二人いて、彼らを中心に、村人達は非常に敬虔で…

 アバウト・ア・ボーイ

アバウト・ア・ボーイ(02米)を観た。 これもBadlyDrawnBoyのサントラを先に買っていて、いつか観ようと思っていた作品だ。 主人公は38歳の独身男ウィル(ヒュー・グラント)。かっこいい。 親の遺産で暮らし、仕事も持たず、妻もいない。ロンドンのおしゃ…

 ストーリーテリング

ストーリーテリング(01米)を観た。 belle&sebastianのサントラは持っていたんだけど、映画を観るのは今回が初めてである。 監督・脚本のトッド・ソロンズというと、ブラックユーモアと共に語られる事が多い人物だ。日本語でいえば、毒(説)ってところか。 …

 八月の鯨

やらなければいけない事からの逃避で、大量にあるビデオテープを整理してみました。 「機能美あふれるビデオ棚の実現にむけ、しなやかな県政」などと鼻をフガフガ、手をガチャガチャしていると、大学2年の時に友人と撮った自主制作映画が出てきました。この…

 ダンサー・イン・ザ・ダーク

巷でかなり評判なもんで、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を観に行って来ました。映画館に着くとすでに予告編の上映が始まっていて、僕は慌てて受付に行ったんですが、「作品名と、券種を言って下さい」なんて言われたもんで、いそいそと学生証を出しまして…

 ラン・ローラ・ラン

昨日wowowでやっていた『ラン・ローラ・ラン』をビデオに録ってありましたんで、それを鑑賞しました。 有り体に言えば、おつきあいしている人の為に、金を工面しようとローラという女性がランするという映画なわけです。ローラがまた、いかにも走りそうな、…

 バトルロワイヤル

かなり今さらなんですけど、『バトル・ロワイアル』を観てきました。ご存じの通り、公開前から成人指定を巡って大騒ぎして、結局R−15指定と言うことでまとまったわけですが、僕は「うまい話題作りをするなあ、民主党とグルになって」なんか思っていたんで…

 愛のコリーダ2000

渋谷で『愛のコリーダ2000』をやっているということなので、友人の町田君と観に行ってきました。 いわゆるノーカット完全版で、今の時代にマッチしたボカシが入ったという、必見の代物です。まあなにせボカシが入るくらいですから、性器のアップ画像は当…