誰も知らない

是枝裕和監督の「誰も知らない」を観た。 母親に置き去りにされた4人の子どもたちが、どこにでもあるアパートの一室で、彼らなりの生活をしていく。戸籍も無ければ、学校にも行っていない。そこで、まさに必然的に起こる悲劇。淡々と、丁寧に、彼らの目線で…

 パレード (吉田修一)

2LDKのマンションに、同居し共同生活する5人の男女。出会ったときから「さよなら」を前提としたような、どこか希薄で執着の無い人間関係。「友達ごっこ」と思いながらも、同時に「友達だから仕方ない」とも思う。そんな距離感の中で生きる若者を描いた、”怖…

女の敵と武器

ちょっと前のニュースだが、ドイツで非常に興味深い実験が行われた。 老人学を専門とするウェザビー博士が、男性200人を半分に分け、片方の100人には女性の乳房を毎日一回凝視させ、もう100人には一切女性の乳房を見せないように監視した。実験期間は、なん…

谷亮子(とか)のすごさ

僕はサッカーを観るのが好きで、ひいきとしているチームはスペインリーグのバルセロナ(バルサ)だ。ロナウジーニョが所属するクラブである。 今晩(日本時間明日早朝)、強豪バレンシアとのアウェーマッチがあり、ここで勝てればほぼ優勝が決定という事で、…

 流星ワゴン (重松清)

「流星ワゴン」(重松清)を読了。非常に面白かった。過去と未来の狭間、出来てしまった亀裂の落ちて、上を見ても光がない。暗闇の中に過去が見え、後悔が見え・・・新しい過去に「出会う」。ほんと、狭間、それを描くのがすごく巧い。新作が出たら買う作家…

この国のかたち

知り合いが結婚式をするらしく、神前式か教会式かで議論となっている。 僕は「日本人らしく、神前式で然るべきだろう」と意見したのだが、「じゃあ、日本人らしさって何?」という疑問をぶつけられた。 よく耳にする話だが、日本人は外国人に「日本ってどん…

まぜるな危険

今回はちょっと汚い話が混じりますので、読みたくない人はブラウザの閉じるボタンで消して下さい。 同僚の鈴本さんの顔色がやたらと悪いので「どうしたんですか?」と聞いてみたら、「いや、おなかの調子が悪くて・・・」と、コンビニで買った新しいパンツを…

初めての出社

もうけっこう前の話になって愕然となるが、大学を出て初めて就職したのは小さな印刷会社だった。 (前に、入社前の出来事を日記に書いている→ここ) 鮮明に覚えているのは、初出社の朝、僕を起こした携帯の着信音だ。当時はまだ着メロなんて無かったから、ほ…

 妻と私 (江藤淳)

江藤淳さんの「妻と私」を、今更ながら読んだ。 慶子夫人に下った、末期ガンという診断。その傍らに付いて離れぬ看病をする江藤。妻の臨終から、江藤本人も病魔に蝕まれ、自殺という出来事に運ばれていく。その遺書には「脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は…

 人の砂漠 (沢木耕太郎)

昔使っていたカバンを引っ張り出して出かけたら、中に「人の砂漠」(沢木耕太郎)が入っていたので、また読んだ。改めて思ったのは、人が思いを仮託する、その対象物を抽出するのがとても巧い。と書いてみたが、あまりに当たり前の事で、まるで冗談を言って…

空の白球だけを追って

最近、とある人とのやりとりの中で「僕は十代の頃と同じことで悩んでいます」と言った。 まず、軽佻な発言はいまに始まった事ではない。それはさておき、僕の十代からの悩みが、ひどく抽象的であることに、ようやく気づいて愕然とした。 「抽象的な悩み」と…

 ダ・ヴィンチ・コード (ダン・ブラウン)

ようやく「ダ・ヴィンチ・コード」を読み終わった。長い。 この作品の構造は、ものすごくシンプルでわかりやすく出来ている。キリスト教的ミステリーに重点をあて、人物と構造を単純化したのは意図的なのだろうと思った。

品性とか郷土愛とか

なにやら韓国と中国が騒がしいことになっている。完全に構造的な反日となっているので、対象である日本人としては、まったく対応のしようが無い。まあ出来る事と言えば、事態をしっかりと見て、それぞれで考えるくらいのものだ。 前々回の日記で朝日新聞のこ…

古代中国の動物分類

ブラウザのお気に入りフォルダが壊れた。 カテゴリによって分類したサブフォルダが、全て無くなってしまった。 そもそも僕は、物事を分類するのが苦手である。 お気に入りのサブフォルダに関して言うと、その範囲の指定を大き過ぎず、小さすぎず、といった絶…

今週のSPA!(4/12号)

こう言っては何だが、僕は時事ニュースや社会情勢のほとんどを「週刊SPA!」から得ている。 SPA!の何が魅力的かって、全てのものを小馬鹿にするというスタンスで成り立っているところだ。 その神髄とも言える特集が6年くらい前に組まれていて、「クラバカの…

大人ごっこ

僕が小学生の頃、図書室に貼ってあったポスター。そこで紹介されていた本のタイトルを、いまだに覚えている。 「大人になりたい僕と、子どもになりたいお父さん」 なぜここまで鮮烈な印象を持って記憶しているかといえば、やはり当時の僕は"強烈に"大人にな…

 牛への道 (宮沢章夫)

前に紹介させてもらった放哉の自由律俳句や古代ギリシャの恋愛術など、日々を生きて何かを見つめ続ける天才目線本。

青酸カリに罪は無い

久しぶりに朝まで飲んだ。朝まで飲んだというか、隣に座った年上の女性にずっと説教をされていた。 曰く「ウマクビ君は夢見がちなんだよ!」「この偽善者!」といった感じである。 この二時間前から続く説教地獄だが、周りの人は誰も止めてくれない。 隣にい…

尾崎放哉の世界

尾崎放哉(おざきほうさい)という俳人をご存じだろうか。 種田山頭火と並ぶ自由律俳句の大家であり、貧窮のうちに生涯を閉じた孤高の人である。 放哉が詠んだ自由律俳句とは、文字制限(五・七・五)無し、季語無し、ルール無しの、まったくの自由な俳句の…

そんなに高い鼻は無い

前回と前々回の日記に多くのトラックバックを頂きまして、ありがとうございます。 思いもしなかった反響で、うれしいやら恥ずかしいやらです。 感想やお褒めのメールを送って頂いた方々、重ねてお礼を申し上げます。 えー本題ってわけではないんだが、正直に…

ペヤングの”ぺ”って?

前回の日記では、フマキラーの意味を確かめたところで満足してしまい、ペヤング・ソース焼きそばの”ぺ”とは何なのか?という新たな疑問を解決せぬまま終わらせた。 が、今日になって、俄然気になってきたのである。”ぺ”が。”ぺ”が僕を支配している。 そこで…

フマキラーはいかが?

前の日記でも僕がボケッとしがちである事に触れたが、どうも最近、それに輪をかけている。二重三重に。 症状としては、無意味にものを見つめる。ぼさ〜っと見つめてしまう。 いまも積まれている本を見つめて虚ろ状態になっていたのだが、どうやら「の」とい…

夜に書く文章

過去の座り心地について考える。 いままでの生き方の上に僕たちは座っている。座らされている。 なんだかグラグラしている。変なところに力を入れないとバランスがとれない。 希望と共に生まれてきて希望も持った子供となり、だんだん、気づけば退屈を感じ、…

僕は滑舌が良くない

今日、事務の川崎さんと話しているなかで「そんなバカな!」と言ったら、「あはは〜、”そんなバナナ!”って!」と笑われた。 言ってない。断じて言ってないよ。バナナ。そう聞こえたとしたら、あなたの耳がバナナなんだよ。 その場は躍起になって否定したが…

鏡の迷宮

オフィスで向かい合わせに座っている鈴本さんが、ここ三日間同じ資料を見続けている。 とある企業間通信のパンフレットなのだが、A4の一枚ものだ。 それを三日間、ほんとにずっと見つめ続けている。たまに、裏返して小首をかしげたりする。何かに疑問を持っ…

箱物お手盛り

会社の新年会お知らせメールに「ギター侍の様に、誰か同僚を斬って下さい。ひとりひとネタお願いします」とあった。 僕は新年会に行かなかったから、どのような状況だったのか分からないけど、ともかく、ちょっと毒づかせてもらうなら、あまりにも安易に提供…

泳げ肉まん君

僕はコンビニによく行く。プリンが好きだからだ。 最近、とくにプリンのバリエーションが豊かになってきて、豆腐プリンとか、牛乳プリンとか、はてはヨーグルトプリンなんていうどっちつかずなものすらあったりして、プリンコーナーは活況を呈している。 そ…

エピソード・マイナスⅢ

このあいだの話なんだけど、年下の女の子と飲みに行った。 やっぱり年下って気を使うわけで、だって二十歳とかだ。(ちなみに僕は28歳) なんかね、30歳前にして、男ウマクビ、舞い上がってるわけですよ。ハズカシイくらいに。 でも、そんな自分を冷静に…

鳥の糞から芽が出て実がなり

同い年の女友達と、池袋で飲んだ。 その居酒屋では、焼き肉屋のように七輪を持ってきてくれるので、その上で魚の干物を焼いたり出来る。 会話って口だけより、手と口を一緒に動かす方が盛り上がるので、焼かれる干物を弄りながらというのは心地がいい。 意識…

パンツをはいたサル

僕は長い間、「視線」について考えている。「目線」と言ってもいい。 とはいっても、「目は口ほどにモノを言う」とか、「目」が象徴する様々なものについて考察してるわけではない。 それを一生考えていても、なんの成果も残せないだろう。 僕が考えているの…